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割礼とHIV感染

Swaziland Increases Male Circumcision Efforts To Curb Spread of HIV

割礼とHIV感染予防についてはいろいろ議論されてきたようで、リスクを逓減させる、というスタディはいくつかあり、割礼していない男性はより感染リスクが大きくなるなどという包括的な疫学的証明はいくつかあるようだ。ただし、割礼自体の方法の差異、副作用、交絡因子などの検証の難しさなどもあり、明確に評価されているというわけではなさそうだ。

The AIDS Epidemic ? A Progress Report from Mexico City
Volume 359:885-887              August 28, 2008         Number 9

このNEJMの論文などを読むと、異性間の感染予防介入の一つとして割礼は勧められている。

BMJ 2000;320:1592-1594 ( 10 June )
Education and debate
How does male circumcision protect against HIV infection?

BMJでは、何で感染リスクが下がるか、機序の仮説とともに、感染予防の手段として使うべきと述べられていた。

非割礼の場合、陰茎包皮の内側表面がHIVレセプターを含んだランゲルハンス細胞を含み、それらがウイルスがペニスに侵入する最初のポイントになるのかもしれない、と仮説が展開されている。性行為の前に膣や陰茎に使うHIVレセプターブロッカーの開発が新しいHIVの感染予防策の一つになるかもしれない。

割礼はHIVの感染率が高い国々では追加の予防策として真剣に考えられるべきである、と結ばれている。

Male Circumcision and Risk for HIV Transmission and Other Health Conditions: Implications for the United States


こちらのCDCの記事では割礼について詳しくレビューされている。MSMでの性交渉では感染リスクが逓減されそうにない、割礼自体のリスクなどから積極的には勧められない、とのことで、下記の3点を強調していた。

個人が感染予防介入として割礼を望む場合以下を認識すること
  • 割礼は利益と共に害もある
  • 膣性行でしか確かな効果はなさそう。
  • 部分的な効果しか期待できないので他の予防方法(適切なコンドーム使用、禁欲、パートナーの固定化など)と併用するように

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究極のHIV治療?

 最近になってドイツの症例(アメリカ在住で2年間ほどARV治療歴有り42歳の患者)でHIV患者でかつ急性骨髄性白血病を発症した人に対する骨髄移植の症例が話題になっている。この骨髄移植のドナーの遺伝子にHIVに感染しにくくなると言われるCCR5 delta 32 mutationがあったとのことだ。

 HIVに繰り返し暴露されながらも感染を免れている人が少数ながら存在することが、1993年頃から報告されていた。このような人々の中に、遺伝子のコレセプターCCR5の部分に32塩基の欠失を持つ人が認められ、この変異をCCR5 delta 32 mutationというそうだ。この遺伝子を持つ人のCD4陽性細胞にはCCR5をコレセプターとして使用するHIVは感染できない。この遺伝子変異の頻度は約10%で白色人種に限られ、アフリカ人や黄色人種には認められない。

 紹介した症例では、骨髄移植後600日間ウイルス量が検出できないレベルであったそうだ。

 HIVの治癒の可能性はゼロではないという希望を与えてくれるものだ。上記のようにたくさんのメディアで取り上げられている。

閉鎖病棟

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 元死刑囚である秀丸さんのエピソードが最近身近で話題になり、再読。印象的なプロローグ。それぞれの業を抱えた人間どうしの触れ合い。ほんのりとした優しさで読了後は温かい気持ちになった。

南アフリカのエイズ否認主義

ニューヨークタイムズの記事。元々はJournal of AIDSに出される論文のようで、オンラインでは先月発表されていたようだ。

▼ニューヨークタイムズ
Study Cites Toll of AIDS Policy in South Africa

▼Journal of AIDS
Estimating the Lost Benefits of Antiretroviral Drug Use in South Africa.

▼ハーバードAIDSイニシアチブ
Estimating the Lost Benefits of Antiretroviral Drug Use in South Africa
※what`newの所から元論文のダウンロード可

 南アフリカでは「エイズはウイルスによって引き起こされるものではなく、栄養失調や過労、環境汚染などをはじめとする劣悪な生活条件によって免疫機能が低下することで起きる」(wikipediaより)というエイズ否認主義を奉じるムベキ政権(1999年6月~2008年9月)の時にはHIV/AIDSの治療と予防に関して大変なサボタージュを行っていたそうだ。

 そんな状況下でHIV/AIDSの蔓延が非常に問題になっており、15~49歳のHIV感染率が21.5%(2004 Report on the Global AIDS Epidemic (UNAIDS/WHO))、妊産婦HIV感染率が29.5%(2005 Report on the Global AIDS Epidemic (UNAIDS/WHO))となっており、国民の約4~5人に1人の割合でHIVに感染している計算になる。

 この度、ハーバード大学の研究グループが推計したところ、2000年から2005年の間にARVの薬が提供されて母子感染が適切に予防されていれば、365000人の早期の死亡を食い止めることができたと発表している。

 南アフリカの狂ったエイズ政策については以前ドキュメンタリーも拝見したことがあるが、ネルソン・マンデラでさえも抵抗できなかったようだし、介入しようとしたクリントンなどの努力も実を結ばなかったようだから、かなり根深いものがあったようだ。

日本の統治構造

日本の統治構造―官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)日本の統治構造—官僚内閣制から議院内閣制へ (中公新書)
(2007/07)
飯尾 潤

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 以前から読みたいと思っていた本を読了。日々、自分の所管の仕事をしていると統治機構の中での自分の役割がよく見えた方が、ぶれない軸が持てるような気がしていた。この本はそのニーズをしっかりと満たしてくれた。

あまりに閉ざされた官僚制に新鮮な空気を入れるために、政治的任用など外部からの人材登用や交流人事も重要であるが、それだけでよき政府ができあがるほど事態は簡単ではない。これまで官僚の優秀さは自明であったが、必ずしもそうとばかりいえなくなった現代、むしろ日本型の新しい官僚像が模索される時代になったと考えられる。官僚にとって冬の時代にこそ、真の官僚の能力が問われるのである。(p.222)

 政府機構の中での自分の位置、歴史的な流れの中での自分の位置を確認できた気がした。お薦めの一冊。

ニセ医者30年

未だにこんなニュースが繰り返されるのがすごいですねぇ。

●少なくない病院等の雇う側が医師資格の確認を適当にやっている?
●内科的初期診療を中心とした医師の仕事(プライマリケア)は見よう見まねで結構こなせてしまう!?
●偽医者の方が緊張感がある分、患者さんに親身になった対応をしたり、意外に評判が良い例が多い!?

などということを考えてしまった。医師不足解消のためにプライマリケアを担う職種を作ってしまうのも一つの手かも知れない。

HIVのelimination戦略

WHOがLancet論文を出している。HIV対策にがっつり予算をつぎ込めば、中長期的には安くあがり、かなりの効果が上がる、というもの。下記にサマリーがあったので簡単に和訳した。


Universal voluntary HIV testing with immediate antiretroviral therapy as a strategy for elimination of HIV transmission: a mathematical model

背景
世界では2007年末現在でおおよそ300万人がART治療を受けているが、670万人が治療を必要としている。また更に2007年には、新たに270万人がHIVに感染した。予防の努力はHIVの感染数を減らすかもしれないが、この病気を除去しそうにはない。我々は世界中の自発的な検査戦略と即座のART適用の理論モデルを調査し、どのような条件であれば撲滅が可能かを研究した。

方法
HIVの蔓延の長期ダイナミクスモデルを使用し、15歳以上の人は毎年HIV検査を受け、HIV陽性と判明したらすぐにARTを開始するという数学モデルを使用した。データは南アフリカの疫学データを使用し、全てのHIV感染は異性間であると仮定した。

結果
今回の戦略では現在ほとんどのHIV感染成人がARTを受けられず、風土病と化しているフェーズからほとんどのHIV成人がARTを受けている撲滅フェーズまでを加速し、5年間以内に移行を可能性が高いことが確認された。2016年までにHIV罹患率と死亡率が1/1000人以下になるか、完全に戦略を10年以内で履行すれば、HIVの有病率を50年以内に1%以下にすることができる。理論的には現在の戦略を続けているのと新しい戦略を採用するのでは、2032年に年間の予算規模が同じ(17億ドル)になる。しかし、その後は、新規戦略では予算が逓減していく一方、現在の戦略のコストは上昇し続ける。

現在の予防アプローチと組み合わせて世界共通の自発的な検査と即座のART戦略を導入すればHIVの蔓延に大きな効果を上げることができるだろう。このアプローチはより以上の数学的モデリング、研究、幅広い協議に値する。



UNAIDSのピーター・ピオットも、下記の記事のように、現在の世界的な金融恐慌下でファンドが縮小されたら危機的だとコメントしている。理論的には分かってはいても、ここでがっつりHIV/AIDS対策にお金をかけるというのは政治状況が許さないのか。

Global Challenges | Global Funding 'Vital' For Preventing Millions of AIDS-Related Deaths, Piot Says

Tokyo/Japan
Profile

Kitty

Author:Kitty
born in 1974
Medical Officer (MD)
Working for Japan

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